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 猪浦道夫著 フランス語の冠詞大講座」(PDF版) 

定価 本論 \3,000   ドリル編 \3,000

 本書は、フランス語学習者の方が一番苦労している「冠詞の使い方」について書いた著書です。およそ外国語というものは、母国語(私たちの場合「日本語」)にない文法現象がもっとも習得しにくいものです。フランス語にあって日本語にないもの、それは、冠詞と比較級、それに関係詞です。なかでも冠詞の使い方は、学習者がもっとも習得に苦労しているものであることは、ほとんど異論がないでしょう。

 私が冠詞の世界にはまり込んだのは、今から30年前に大学院、そしてローマ留学時代に、イタリア語の冠詞について修士論文を書いたときです。しかし、イタリア語を学習する以前に、アテネ・フランセで、また最初の大学で仏文科に籍を置いていた私にとって、イタリア語の兄弟言語であるフランス語の冠詞について自分なりの参考書を書くのは長年の念願でありました。

 さて、本書の構成に関しては、私が1986年に日本ロマンス語学会に提出した論文「イタリア語冠詞の研究」と、昨年上梓した「英語の冠詞・大講座」を下敷きにして、それに必要な肉付けをすることにしました。しかし、全体を要領よく体系化してまとめるのは思いのほか難事業でした。どの角度からアプローチしても、どうしてもある程度は同じことを繰り返し引用し、論じなければならないのです。そこで、説明がだぶることを恐れず、必要とあれば繰り返し説明したり例文を挙げることにしました。そのようなわけで、この本を読んでいて、時として同じような説明が繰り返されている点をあらかじめご容赦いただきたいと思います。

 本書を上梓するのを機会に、これまで「プチ通信講座」でご好評いただいていた「冠詞ドリル」も書籍化することにいたしました。これは大きく2つのグループに分かれており、前半は短文による英語の冠詞の重要な慣用語法をチェックし、完全にマスターしていただくための問題からなっています。後半は、まとまった文章のなかで文脈を考えながら冠詞を正しく運用する練習をすることを眼目として、それらはただ単に答を掲げるだけでく、複数の答があるような場合も含めて、逐一詳しい解説を施しました。ぜひ、皆さんのフランス語学習に役立てていただきたいと思います。

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【フランス語冠詞大講座 目次】

第1章: 冠詞とは何のためにあるのか
  1. 冠詞とは何か
  2. 冠詞の定義
  3. 冠詞はどんな言語にあるのか

第2章 冠詞についての様々な考察
  1. 冠詞の種類
  2. 冠詞の位置 
  3. 冠詞と他の語の共起

第3章 冠詞が名詞に与えるいろいろな情報
  1. 名詞の数の表示
  2. 名詞の性の表示
  3. 名詞の格の表示
  4. 名詞化されたことの表示
  5. 代名詞の代りをする
  6. 不定形容詞の代りをする
  7. 指示形容詞の代りをする
  8. 所有詞の代りをする
  9. 名詞を具象化する
 10.  名詞を特定化する

第4章  名詞の分類
  1. 普通名詞
  2. 固有名詞と唯一物名詞
  3. 具象名詞と抽象名詞
  4. 可算名詞と不可算名詞
  5. 集合名詞

第5章  名詞の4つの世界  〜名詞の様々な姿〜
  1. 抽象の世界(原始状態または不定な状態)
  2. 現実の世界(特定化されていない状態)
  3. 現実の世界(特定化された状態)
  4. 抽象の世界(特定化された状態)

第6章  名詞の各語形のもつ基本的な意味
  1. 定冠詞つき名詞
  2. 不定冠詞つき名詞
  3. 無冠詞の名詞
  4. 不定冠詞複数形がついた名詞
  5. 部分冠詞がついた名詞
  6. 冠詞の変形した語としての de がついた名詞

第7章  不特定概念の名詞の分析
  1. 不特定である2つのケース
    1) 話し手もどの個体でもよいと思っている場合  
    2) 話し手にとっては特定の個体であるが、聞き手にまだそれが特定できていない場合
  2. 不定冠詞の特殊な用法
    1) 数詞の「一つの」に近い用法
    2) 物質名詞の普通名詞化
    3) 抽象名詞の普通名詞化
    4) 唯一物名詞の普通名詞化
    5) 固有名詞の普通名詞化
    6) 若干量を表わし「わずかな、ごく少しの」の意味をもたせる
    7) 強調や誇張した語気を表わす
    8) 数詞を強調する
  3. il y a 構文と不定冠詞

第8章 特定化された名詞の分析
  1. 一般概念(または総称表現)
    1) le chien 型(抽象化された一概念)
    2) (des) chiens 型(漠然とした複数個による提喩)
    3) un chien 型(一サンプルによる提喩)
    4) les chiens 型(個体の全集合)
    5) 3形態の比較
    6) 総称表現に使われる名詞の形態のまとめ
  2. 指示詞的特定化
    1) 直載的(déictique)特定化
    2) 前方照応(anaphore)による特定化
    3) 後方照応(cataphore)による特定化
      a) 形容詞による特定化
      b) 前置詞句による特定化
      c) 関係節による特定化
      d) 同格語、同格節、同格の不定法句による特定化
  3. 所有詞的特定化
    1) 身体部位名詞
    2) 身体部位名詞以外の所有物
  4. 唯一物であるゆえの自動特定化
    1) 唯一物
    2) 親密度が最高レベルであるために唯一物として扱われる語
    3) 唯一物的意味の限定語がついた名詞
      a) 最上級形容詞
      b) 序数形容詞
      c) 日付表現
      d) 唯一的意味をもつその他の形容詞
      e) 種族の典型を表わす
      f) 時刻の表現
      g) 同一性を表わす même
    4) 固有名詞
      a) 国名、州名
      b) 大陸、山、川、海など
      c) 人名、姓
      e) 民族名  
      f) 国語名
      g) 新聞、雑誌、建物、団体、乗物など
      h) 祝祭日
      i) 天体名
      j) 病名
      k) tout, autre を含む成句
  5. 暗黙の了解による特定化
    1) 周辺の状況による特定化
    2) 習慣的行為であるゆえの特定化
    3) 関連物が言及されているがゆえの前方照応的特定化

第9章  無冠詞名詞のまとめ
  1. 熟語表現への化石化(無冠詞単数)
    a) 形容詞句または熟語名詞及び名詞の補語
    b) 熟語動詞
    c) 非人称構文の熟語表現
    d) 場所の熟語的副詞句
    e) 交通手段・通信手段を表わす熟語的副詞句
    f) 様態を表わす熟語的副詞句
    g) その他の状況補語の熟語句
    h) 前置詞なしの状況補語
    i) 比喩を表わす comme
  2. 資格を表わす属詞名詞(無冠詞単数)
  3. 属詞形容詞句を形成する de の後で
  4. 呼びかけ、感嘆、列挙
  5. 諺、格言など
  6. 前置詞de の後に来る des 及び部分冠詞
  7. en/de +女性国名
  8. 前置詞 en
  9. 表題、標識、見出し、住所などの表現
 10.  数量を表わす不定形容詞句や名詞の後で
 11.  否定の前置詞 sans や否定の接続詞 ni に先行された不定概念名詞
 12.  月名、今日を中心にした曜日名、midi, minuit

第9章   「原則」を修正させるファクター
  1. 名詞の数
  2. 統辞条件
  3. 呼びかけ(呼格表現)、見出し語
  4. 繋辞構文
  5. 同格語法
  6. 配分詞的用法
  7. 否定文
  8. 近似値を表わす定冠詞複数形
  9. 対句表現、列挙
 10.  冠詞の限定機能を代行する形容詞や数量表現の存在
    1) 指示形容詞
    2) 所有形容詞
    3) 数詞  
    4) 不定形容詞  
    5) 不定形容詞句   
 11. 動詞のアスペクト   
 12. 動詞の種類   

第10章  形態と統辞上の注意
  1. 冠詞の形態と縮約冠詞
    1) 定冠詞
    2) 不定冠詞
    3) 部分冠詞
    4) 縮約冠詞
    5) l’un, l’une, les uns, les unes など
  2. 冠詞の統辞についての注意
    1) 冠詞の前におかれる語 tout
    2) 特定の人物名と称号
    3) 冠詞の反復
    4) 最上級表現における定冠詞の反復