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 猪浦道夫著 イタリア語の冠詞大講座」(PDF版) 

定価 本論 \3,000   ドリル編 \3,000

 本書はイタリア語の冠詞の機能を明らかにし、学習者がイタリア語で発話するときに、スムーズに冠詞の問題を解決できるようにすることを目的として書かれました。

 冠詞はたいていの西洋言語にあるもので、日本語にはない語彙です。そもそも母国語にない外国語の一文法現象を理解するのは容易なことではありません。たいてい場合、これを実現するには、その外国語のもつ様々な別の文法現象や、場合によってはその国民のものの考え方、ひいては文化論、社会心理学的な問題まで考慮に入れて初めて、克服できるものです。

 冠詞というものは、表にはっきりと出ない主観的で微妙なニュアンスを含む語で、これを科学的なものの割り切り方できれいに説明することは到底できないものです。かと言って、従来の文法書のように、説明しにくい問題を一つ袋に入れて「文法の問題ではなく慣用の問題だ」として棚上げにしたままでは、私たちはいつまでたっても「冠詞」を自分のものにできません。

 また、一部の言語に冠詞があるに他の言語ではなぜ冠詞がないのか、冠詞をもたなかったラテン語が、2千年の後にどのようにして、そしてまたなぜ、冠詞をもつイタリア語という言語に変容したのか、冠詞の機能とは冠詞をもたない言語では別の手段によって表わされているのか、もしそうだとすればどのような方法があるのか、私たちが知りたいことは山ほどあります。

 本書では、まず1〜2章で一般的な立場から「冠詞」と呼ばれる小辞を考察してその実態を知り、続いて3〜8章においてイタリア語の機能を徹底的に分析することにしました。そして、巻末の9章では、参考として、イタリア語の冠詞の形態論を通時的、共時的に概観しています。少し難しい箇所もあるかと思いますが、丹念に読んで冠詞の機能を徹底的に理解していただきたいと思います。

 本書を上梓するのを機会に、これまで「プチ通信講座」でご好評いただいていた「冠詞ドリル」も書籍化することにいたしました。これは大きく2つのグループに分かれており、前半は短文による英語の冠詞の重要な慣用語法をチェックし、完全にマスターしていただくための問題からなっています。後半は、まとまった文章のなかで文脈を考えながら冠詞を正しく運用する練習をすることを眼目として、それらはただ単に答を掲げるだけでく、複数の答があるような場合も含めて、逐一詳しい解説を施しました。イタリア語の冠詞で苦労している学習者諸氏の一助になれば、これにまさる喜びはありません。

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【イタリア語冠詞大講座 目次】

第1章  冠詞とは何のためにあるのか

  1. 冠詞とは何か

  2. 冠詞の定義

  3. 冠詞はどんな言語にあるのか  

第2章  冠詞についての様々な考察

  1. 冠詞の種類

  2. 冠詞の位置

  3. 冠詞と他の語の共起

第3章  冠詞が名詞に与えるいろいろな情報について

  1. 名詞の数の表示

  2. 名詞の性の表示

  3. 名詞の格の表示

  4. 名詞化されたことの表示

  5. 代名詞の代りをする

  6. 不定形容詞の代りをする

  7. 概数を表す副詞のような働きをする

  8. 指示形容詞の代りをする

  9. 所有詞の代りをする

 10. 名詞を具象化する

 11. 名詞を特定化する

第4章 名詞の4つの世界

  1. 抽象の世界(原始状態または不定な状態)

  2. 現実の世界(特定化されていない状態)

  3. 現実の世界(特定化された状態)  

  4. 抽象の世界(特定化された状態)

第5章  名詞の各語形のもつ基本的な意味

  1. 定冠詞つき名詞

  2. 不定冠詞つき名詞

  3. 無冠詞単数の名詞

  4. 無冠詞複数の名詞及び部分冠詞つき複数名詞

  5. 部分冠詞つき単数名詞

第6章  不特定概念の名詞の分析

  1. 不特定である2つのケース

    1) 話し手もどの個体でもよいと思っている場合

    2) 名詞が聞き手に特定できていない場合  

  2. 不定冠詞の特殊な用法

    1) 唯一物名詞を普通名詞化する

    2) 物質名詞を普通名詞化する

    3) 固有名詞を普通名詞化する

    4) 口語表現における驚愕、称賛を表わす

  3. 初出主語導入構文

第7章  特定化された名詞の分析

  1. 一般概念(または総称表現)

    1) il gatto 型(抽象化された一概念)

    2) (dei) gatti 型(漠然とした複数個による提喩)

    3) un gatto 型(一サンプルによる提喩)

    4) i gatti 型(個体の全集合)

    5) 3形態の比較

    6) 総称表現に使われる名詞の形態のまとめ

      A) 定冠詞つき単数形

      B) 定冠詞つき複数形

      C) 不定冠詞つき複数形

      D) 部分冠詞つき複数形

  2. 指示詞的特定化

    1) 直載的(deittico)特定化

    2) 前方照応(anafora)による特定化

    3) 後方照応(catafora)による特定化

  3. 所有詞的特定化

    1) 身体部位名詞

    2) 身体部位名詞以外の所有物

  4. 唯一物であるゆえの自動特定化

    1) 唯一物

    2) 唯一物的意味の形容詞がついた名詞

    3) 固有名詞

  5. 暗黙の了解による特定化

    1) 周辺の状況による特定化

    2) 習慣的行為であるゆえの特定化

    3) 関連物の言及による前方照応的特定化

第8章  無冠詞名詞のまとめ

  1. 普通名詞の漠然とした複数の事物(無冠詞複数)

  2. イディオム表現への化石化(無冠詞単数)

  3. 地位、立場を表わす属詞名詞(無冠詞単数)

  4. 所有形容詞つきの親族名詞(無冠詞単数)

  5. 日常の食事など(無冠詞単数)

  6. 前置詞 di の後での部分冠詞の省略

  7. 前置詞 in, di の後での女性国名につく定冠詞の省略

第9章  「原則」を修正させるファクター

  1. 名詞の数

  2. 名詞のカテゴリー

  3. 統辞条件

  4. 呼びかけ(呼格表現)、見出し語

  5. 否定文

  6. 繋辞構文

  7. 使役構文

  8. 同格

  9. 対句表現、列挙

 10. 配分詞的用法

 11. 好音性

 12. 他の限定辞の存在

 13. 前置詞の影響

 14. 成句表現への化石化

 15. 限定度の差

 16. 動詞のアスペクト

 17. 動詞の種類

第10章   イタリア語の冠詞の形態と統辞の諸問題

  1. 冠詞の形態に関する歴史的変遷

    1) 定冠詞

    2) 不定冠詞  

    3) 部分冠詞

  2. 現代イタリア語における冠詞の形態のまとめ

    1) 定冠詞の形態に関する揺れ

    2) 不定冠詞の形態に関する注意

    3) 部分冠詞

  3. 冠詞の統辞についての注意

    1) 冠詞に先行する不定形容詞

    2) 異名の並置