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 猪浦道夫著 英語の冠詞大講座」(PDF版) 

定価 本論 \2,400   ドリル編 \3,000

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  私は30年前にローマで言語学を勉強してから、常に欧州言語の「冠詞」を比較研究してきました。それでわかったことは、英語の冠詞のみが独特の考え方で運用されているということです。とりわけ、フランス語やイタリア語のようなロマンス系言語の冠詞とは、まったく異なった論理で機能しているので、たぶん英語の勉強だけをしている限り、英語の冠詞は理解できないであろうと思われます。英語で冠詞を正しく使うようになるには、冠詞だけいくら研究しても埒があきません。無冠詞の名詞や some, any のついた名詞、代名詞所有格がついた名詞、さらにはその文章の動詞のアスペクト、文脈まで考慮に入れなければ、この問題は解決しないのです。このような点にまで踏み込んだ既刊の参考書は初めてではないかと思います。

 私は、今後、仏、伊、西、独語で冠詞の大講座を執筆するというライフワークを果たしたいと思っていますが、それに先んじて、まず、私にとって最も難しいと思われる英語の冠詞に関する本に取り組むことにしました。それは、何よりも非常に多くの英語学習者が冠詞のことで困っているからです。この本は、普通の英語の参考書とは異なり、必要とあれば(読者に多少難しいと思われる場合でも)他言語の冠詞のことを引用し比較しながら、英語の冠詞の謎を究明しようと試みています。この点でも、これまでの参考書より広い視野で英語の冠詞をとらえることに成功しているのではないかと自負しております。或る意味、読者にフレンドリーでないかも知れませんが、容赦することによって結局目的を果たせなければ意味がありません。今の日本の語学教育は生徒に媚を売りすぎなので、たまにはこのような硬派な参考書もいいのではないかと思います。

 そして、何より皆さんに喜んでいただけると思うのが、半端な数でない演習ドリルです。これは大きく2つのグループに分かれており、前半は短文による英語の冠詞の重要な慣用語法をチェックし、完全にマスターしていただくための問題からなっています。後半は、まとまった文章のなかで文脈を考えながら冠詞を正しく運用する練習をすることを眼目として、それらはただ単に答を掲げるだけでく、複数の答があるような場合も含めて、逐一詳しい解説を施しました。

                                                                     著者

目次

はじめに

第1章 冠詞とは何のためにあるのか

1. 冠詞とは何か

2. 冠詞の定義

3. 冠詞はどんな言語にあるのか 

第2章 冠詞についての様々な考察

1. 冠詞の種類

2. 冠詞の位置

3. 冠詞と他の語の共起

第3章 冠詞が名詞に与えるいろいろな情報について

1. 名詞の数の表示

2. 名詞の性の表示

3. 名詞の格の表示

4. 名詞化されたことの表示

5. 代名詞の代りをする

6. 不定形容詞の代りをする

7. 指示形容詞の代りをする

8. 所有詞の代りをする

9. 名詞を具象化する

10. 名詞を特定化する

第4章 名詞の4つの世界

1. 抽象の世界(原始状態または特定化されていない状態)(無冠詞単数)

2. 現実の世界(特定化されていない状態)(不定冠詞単数または無冠詞複数)

3. 現実の世界(特定化された状態)(定冠詞つき)

4. 抽象の世界(特定化された状態)(定冠詞つきまたは無冠詞)

第5章 名詞の各語形のもつ基本的な意味

1. 定冠詞つき名詞の基本的な意味

2. 不定冠詞つき名詞の基本的な意味

3. 無冠詞名詞つき名詞の基本的な意味

4. some, any がついた名詞の基本的な意味

5. no がついた名詞の基本的な意味

第6章 不特定の名詞の分析

1. 不特定である2つのケース

1) 話し手もどの個体でもよいと思っている場合

2) 話し手にとっては特定の個体だが、聞き手にまだ特定できていない場合

2. 不定冠詞の特殊な用法

1) 「いくらかの、或る」の意味

2) 「ひとつの、同族の」の意味

3) 「〜につき」の配分詞的用法

4) 唯一物名詞の普通名詞化

5) 固有名詞の普通名詞化

第7章 特定化された名詞の分析

1. 一般概念(または総称表現)

1) the dog 型(抽象化された一概念)

2) dogs 型(漠然とした複数個による提喩)

3) a dog 型(一サンプルによる提喩)

4) the dogs 型(個体の全集合)

5) 3形態は同じ意味ではない

6) 総称表現に使われる名詞の形態のまとめ

2. 指示詞的用法

1) 直載的用法

2) 前方照応的用法

3) 後方照応的用法

3. 所有詞的用法

1) 身体部位名詞

2) 身体部位名詞以外の所有物

4. 唯一物

1) 唯一物

2) 固有名詞

5. 暗黙の了解

1) 周辺の状況による特定化

2) 習慣的行為状況からの特定化

3) 関連物の言及からの連鎖による特定化

第8章 無冠詞名詞のまとめ

1. 物質名詞、抽象名詞の一般概念(単数無冠詞)

2. 普通名詞の一般概念(複数無冠詞)

3. イディオマティックな表現への化石化(普通名詞の無冠詞単数)

4. 身内を表わす語(無冠詞単数)

5. 日常の食事や茶(無冠詞単数)

第9章 原則を修正させるファクター

1. 名詞の数

3. 統辞条件

3. 呼びかけ(呼格表現)、見出し語

4. 繋辞構文

5. 第5文型

6. 官職を示す補語、同格

7. 配分詞的用法

8. 否定文

9. 対句表現、列挙

10. 動詞のアスペクト

11. 冠詞ではない the

第10章 形態と統辞上の注意

1. 不定冠詞の形態に関する注意

1) 原則

2) 語頭が子音の発音である母音字で始まる語

3) 黙字の h で始まる語

2. 英語の冠詞の語順についてのおさらい

1) 冠詞に先行する形容詞

2) 冠詞に先行する副詞

3) 強調語法で冠詞に先行する副詞

4) other