フランス語
<“クレヨンしんちゃん”によるシナリオ翻訳演習と会話表現研究>
セミナーの内容
Bande dessinee(漫画・コミック)は、生き生きとした日常会話表現を学ぶ格好の教材です。
なぜなら、コミックは、外国人学習者を意識した「教科書」ではなく、本当にネイティブ
のフランス人が普段話している通りの会話がスクリプトになっているからです。
しかし、漫画だからといって、そのフランス語は決して易しいわけではなく、むしろ文学や
時事文とは異なった難しさがあるのです。その文体の特徴として
1)
教科書ではなかなか出会わない流行言葉、俗語、比喩的な表現が含まれる
2)
文法的にも容赦なく接続法、分詞構文など出てくる
3)
スピーチレベルが豊かで、敬語から罵り言葉まで多様
4)
ラブストーリーでは非常に intimate な表現も観察できる
5)
擬態語も出てくる
といった点が挙げられ、通常の学習用会話参考書では学べない素材がふんだんに得られ
ます。
マンガを学習することにはもうひとつ、とても大きな利点があります。それは、
「シナリオの翻訳演習になる」ということです。
国際化が進む中で、今後、今までの映画ばかりでなく、ビデオなど他の映像作品の翻訳需
要が今後増えることが予想されます。
それに、ご自身の会話能力が高まりますので、通訳志向の方にとっても有用であることは
言を待ちません。
シナリオ翻訳の特徴として、単に横のものを縦にするだけでなく、よくニュアンスをつかみ
それを巧みな日本語に置き換えること、対応するうまい比喩を探し出すこと、また音声的
には、フランス語の原文の台詞とあまりシラブル数が変わらない訳語を考えること、など
かなり、日本語の記述能力が要求されます。
マンガはこうした傾向の翻訳の練習をするのに、格好の素材なのです。
とりわけ「クレションしんちゃん」の場合は、もともと原文のフランス語が日本語の台詞
(それも、あの独特のしんちゃんの言葉遣い)をフランス人翻訳者が苦労して翻訳した
ものなので、私たちのフランス語会話上達にひとつのヒントを与えてくれます。
つまり、私たちはフランス語を話そうとするとき(当然のことながら)瞬間的に「日本語
で」自分の言いたいことを思い浮かべ、それをフランス語にしようとするため、フランス
語らしい表現が思い浮かばず、口ごもってしまうということがままあるのです。(これに
ついては「コミュニケーション文法」のセミナーに詳しい説明を譲りますが、「クレヨン
しんちゃん」を教材に使うことによって、ある意味「日本語的な発想の表現」をフランス
語でどのように表現できるかが観察できるのです。
このセミナーは「ノウハウを盗んでいただくためのもの」なので、出席者の方は必ずしも
予習を必要としませんが、時間的に余裕のあるかたは、あらかじめテキストをお送りしま
すので、少しでも自分なりの訳文を考えて来てみてください。