セミナー 概要
<イタリア語・コミュニケーション文法と会話術>
コミュニケーション文法入門 [午前]
コミュニケーション文法とは、ひとことで言えば、異文化間の表現構造の違いを観察
し、分析する「文法」といえます。
私たちは、英語を学び始めたとき、最初のうちは、ほぼ一語一語を「逐次訳」して、
簡単な文章を習得していきます。しかし、2〜3年たつと、いつの間には「逐次訳」
できない文章に囲まれていることがわかります。
あるとき、私は、いとこから中学の英語の教科書を借りて、どのへんから「逐次訳で
きない」文章が出てくるか検証してみました。それは、中1の最後の方で出てきまし
た。
1) We have a lot of snow in winter here in Niigata.
というのが、その最初の文でした。もし、初期の翻訳機械が、この発想の元の文を訳
していたら、
1)* ? In this Niigata much snow falls in winter.
と訳していたかも知れません。
続いて、中2の英語の教科書の始めの方に、次のような文がありました。
2) I have a brother and two sisters.
3) The next day was another fine day.
これも初期の翻訳機械なら、
2)* ? With me there are a brother and two sisters.
3)* ? The next day also, it was fine the next day.
このような発想の違いはどうして出てくるのでしょうか。例えば、ロシア語では 2)
の文を、日本語に似たように表現するのです。ロシア語と言えば、否定疑問文に対す
る yes と no の使い方に関しても、日本語と同じように使うのです。
考えてみると、外国語というのは、文法の習得と平行して、このような「発想(=表
現)の違い」を科学的に分析しながら、よく観察しながら学習していかないと、レベ
ルの高いコミュニケーションはできないのだ、ということがわかります。このような
アプローチなくしては、よい外国語を書くことができないことがおわかりでしょう
し、その力なくしてレベルの高い speaking の能力も養われないし、ひいては「良質
の和訳」のできないことがわかります。
しかるに、我が国の「英語教育」においては、こうした「表現の違い」も、ただひた
すら丸暗記に頼る前時代的な学習方法に頼っています。
今回の特別セミナーでは、こうした、これまで省みられなかった、外国語の背景にあ
るものにスポットをあてる方法を、出席者それぞれの学習言語のなかに例を見出しな
がら研究してみることにします。具体的には、次のような部分に焦点をあてて考察し
てみます。ですから、英語以外にも広く様々な言語を少しでも学習経験のあるかた、
またいろいろな地域に旅行した経験のあるかた、大歓迎です。
1))常套表現の比較
挨拶、謝意、詫び、あいづちなどの表現方法の背景にある発想の比較
2))語彙の比較
語彙の対応、イメージや視点の違い、意味の場の相違、など
3))ノン・バーバルコミュニケーションの比較
ジェスチャー、表情、日本人の「阿吽の呼吸」などの観察
4))統辞面からみた表現の違い
A)所有表現と存在表現
B)スル的言語とナル的言語
C)主語のない文
D)受身の型
5))翻訳とは
「弘法も筆の誤り」はどう訳す?
イタリア語 会話術研究 [午後]
【1部】
1) 学習のプロセス − 会話の占める位置
聞く 話す 読む 書く 各能力の特性
教授法の歴史と種類
2)母国語習得と外国語習得の相違点
子供の会話 スピーチレベル
コロケーションや決り文句の収集の仕方
3)基本文型 数は限られている
パターン・プラクティス
4)イントネーションのインプット
典型的な会話ディアログのイントネーションをインプット、できれば暗記
5)大人の会話
fumetto をマテリアルに
6)ビジネス会話
ビジネスイタリア語の教科書の勧め
【2部】
会話力習得のプロセス
a) 構文分析能力の習得 > standard grammar
b) 発想論理・分析能力の習得 > communicative grammar
c) 決まり言葉、つなぎ言葉の習得 > situation method
d) 文章創造力 > cognitive method と pattern drill
e) 表現、語彙のスピーチレベルの分析能力 > word formation
f) 正しい発音に関する科学的訓練
「話す」のに何が必要か
a) 語彙とその語形変化能力 > tool
b) フレーズ・構文の習得 > syntax > pattern drill
c) 基礎慣用表現・つなぎ言葉の習得
d) 要注意語彙の研究 disponibile, figurati! a suo turno ...
e) 構文の発想転換力
f) 音声学 > 特にイタリア語と日本語との間での比較音声学
「聞く」のに何が必要か
a) 音声発音能力 > 自分が正しく発音していないと聞き取れない
b) 圧倒的な語彙力 > 結局、相当量の読み書きの演習が必要
active vocabulary と passive vocabulary
c) OO語らしい表現への理解力
会話術
a) 話題の内容 <ドラエモンのポケット
b) ユーモア(エスプリ、ウィット)のセンス
c) 話術にこだわるより、会話(コミュニケーション)を楽しむ