英語の真の理解にはドイツ語の知識が不可欠な理由と、北欧言語について

最近、偶然3名の方から同じような質問を受けましたので、読者の皆さんにもその回答をご紹介します。

質問の内容は、主として次の2点です。

  • 先生は、真に英語ができるようになるにはドイツ語の知識が不可欠だとおっしゃっていますが、その理由は。
  • 北欧語(またはオランダ語)を勉強したいのだが、ドイツ語ができないと不利か。

英語の真の理解にはドイツ語の知識が不可欠な理由

 

結論からいうと、英語の真の理解にはドイツ語の知識が不可欠だと思っています。なぜかというと、私自身の学習経験からそう思うからです。苦難の末(笑)ドイツ語をモノにする過程で、いくつもの英語の謎が解けて行ったからです。 

系統のことをお話ししますと、英語、ドイツ語、オランダ語の3言語は「西ゲルマン語族」に属し、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドの4言語は「北ゲルマン語族」に属します。従って、ドイツ、スウェーデンはいってみればいとこ関係の言語ということになります。

 

英語とドイツ語は兄弟の言語なのですが、英語が上の3兄弟のなかで非常に特殊な歴史をたどってきたために、ドイツ、オランダとはずいぶん異なる文法構造をもつ、語彙の構成も非常に異なります。それはひとことでいえば「きわめてフランス語化されたゲルマン語」ということです。語彙の7割はフランス語系にとってかわられていますし、文法構造ですらかなりフランス語化しています。

 

それでも、完全にフランス語化したわけではないので、しばしば昔低地ドイツ語だった時代の文法システムが顔をのぞかせ、システムのダブルスタンダードを生み出しています。これが英語という言語を大変難しいものにしているのです。(たとえば、度量衡の構文、2種類の比較級の存在など)

 

私が高校生のころ英語の先生はこれらを「決まった語法だから暗記せよ」といったのですが、やみくもに暗記することが苦手だったそのとき私は大変躊躇しました。(そういうタイプの人は実は結構いるようで、私自身語学を教えるようになって、そういう生徒さんに結構出会いました。)

 

ところが、ドイツ語を学ぶとすべてに「理論」がついています。ドイツ語を学習しないと、真の意味で英語の構造が理解できないというのはそういうことです。(実はこの点に関しては、フランス語も同じことが言えます)

ドイツ語のできる方であれば、北欧語は比較的容易になる

さて、そのようにまったくゲルマン語らしからぬ姿になってしまった英語に比べ、スウェーデン語は北欧語独特の特徴を保持しているとはいえ、語彙はぐっとドイツ語に似ています。ドイツ語のできる人であれば、音韻法則をちょっぴり学べば、おそらく7割近くの単語はすぐ覚えられると思います。

 

初級の学びやすさで言えば、英語に似ている面も多いこともあって、スウェーデン語のほうが容易なのですが、問題はスウェーデン語がマイナー言語であるため、よい日本語の参考書や辞書がないため、学習上非常にハンディがあるのです。そういう意味で、辞書や参考書にことかかないドイツ語を先にやると楽は楽です。

 

なお、音声的には、ノルウェー語はスウェーデン語によく似ていますが、文字で見るとほとんどデンマーク語と同じです。デンマーク語はご存じだと思いますが、その平易な文法の代償として発音の特異さで有名です。この言語の音声習得には音声学の知識が不可欠ではないかと思われます。

 

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